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プロフィール

KATIE

Author:KATIE
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属性:ツインテール+絶対領域
さらに狭めるなら、金ツ黒リが最萌だがそれを上回るフィーナ様の魅力には流石としか言い様がありません(笑)

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旋律その9『紅の心』(くれないのこころ)
トゥルルル・・・トゥルルル・・・
「ごめーん。誰か電話に出れる?」
「ああ解った。俺が出る」

チャッ
「はい、朝霧です」
「その声は和真君か?」
「仁さん。どうしたんですか?うちに電話なんて珍しいですね」
「ああ、実は・・・・・・」


旋律その9『紅の心』(くれないのこころ)


数分後、朝霧家のリビングに全員が集まり、更に仁が来訪する。

「実は明後日、菜月の誕生日なんだ。それでみんなに相談をね」
「菜月の誕生日ですか。それは重要ですね」
「そうですね。菜月さんにはいつもお世話になってますので、頑張ってお祝いしませんと」
「では、皆さまでお祝いされる訳ですね?」

「そういえばもう明後日か・・・・・・拙いな、プレゼント用意してないよ」
「おいおい達哉、それはいただけないだろう・・・尤も俺も去年一昨年と
用意できなくてバースデーカードだけで祝う形になってしまっていたが・・・」
「『が』ってことは、今年は用意しているの?」
「うん。多分驚くと思うから当日までは秘密」
「あら?そんなに驚くものなの?」
「まあね・・・・・・出来れば全員を驚かしたいから」

「それで出来れば、当日まで菜月には誕生日の事は内緒にしてもらえないかな?」
「どうしてですか?」
「いや~出来れば菜月をビックリさせたいのでね」
「そうね。それなら思い出に残るイベントになるわね」
「さっすが、さやちゃんは察しがイイ!で、みんなに了解をとりたいのだけど・・・」

「黙っているのは少し罪悪感がありますね・・・ですが、演出と考えれば良いかも知れませんね」
「それじゃあ」
「はい。了解しました」
「わ、わかりました!」

「俺も構いませんよ。どうせなら思い切り驚いてもらいたいですから」
「流石に達哉君は分かっているね~」
「仁さんの影響ですよ」
「わたしも良いですよ。それなら、誕生日マーチの練習をしようかな~」
「おお!麻衣ちゃんグッドアイデアだね♪」

「了解です。俺も問題ありません。元より菜月ちゃんを驚かせるために用意しましたからね」
「それで、その驚くプレゼントって何だい?」
「・・・それは仁さんにも内緒です。折角ですから皆で驚いてもらいます」
「そりゃまた、偉い自信だね」
「あの・・・」
「何だいレティちゃん?」

「でも、もし菜月さんが知ってしまったら・・・・・・どうしますか?」
「ま、その時はちと盛り上がらないが普通に祝えば文句ないでしょ。
今回の主旨は『いかにして菜月の思い出作りになるか』だからね」
「そうですね・・・・・・はい♪私も了解です」


「じゃあお邪魔しました~」
「お疲れ様でした」
「お疲れです」
「あ、そうだレティちゃん」
「はい、何ですか?」
「・・・・・・レティちゃんは『顔に出やすい』から、くれぐれも気をつけてね」

「ええ!?は、はい・・・・・・」
「仁さん・・・・・・レティが落ち込んでいるじゃないですか」
「いや~すまないね。でも、ほらレティちゃんだから」
「そりゃまあ、レティは喜怒哀楽が激しくてポーカーフェイスなんて望めませんけど、
強調してまで言わなくても良いじゃないですか」
「和真君・・・・・・キミの言い方が酷くないかい?」
「え?そうですか?」
「・・・・・・いいですよ。どうせ私は隠し事は苦手です・・・和真さんには
あっさり正体ばれているし、達哉さんからは『お姫様らしくないね』って言われるし・・・」
「達哉の奴・・・・・・今度『仕置』だな」
「・・・和真君。キミがそれを言うかい・・・」


仁が帰ってからレティシアが和真に対して・・・
「あの、和真さん」
「どうした?」
「どうせなら菜月さんのお誕生会にはエルとシルフィさんも呼べませんか?」
「エレノアさんとシルフィさんか。そういえば、二人ともまだ皆に紹介してないしな・・・
この機会に知り合うのも悪くないか・・・・・・あ、だが」
「どうかしましたか?」
「いや・・・そういえば菜月ちゃんたちにはレティがお姫様というのを話していないだろう?
シルフィさんはあまり意識してなかったが、レティ付きのエレノアさんは流石に人前では
レティと話しづらいのではないか?」
「あ、それなら良い方法がありますよ。私がりんご亭でお仕事する時に
『レティは東のトキラン共和国の外れの村の村長の娘で、エルはその護衛だから』
とクリフさんが説得してくれましたから」
「クリフさんって・・・ああ、確かシルフィさんのお兄さんだったか・・・・・・
咄嗟とはいえ、よくもまあ、そんな出任せが言えたもんだな・・・」
「えっと・・・どうですか?」
「わかった。それで行こう。もしレティが勘繰られそうだったら、
俺がフォローに入るから、エレノアさんと打ち合わせしておかなければな」
「すみません。お願いします」
「了解だ。さて、これから準備だな」
「あ、それと・・・・・・」
「ん?まだあるのか?」
「ええと、実は・・・・・・」


「「アップルパイを作る?」」
レティシアの提案に麻衣とミアが目を丸くする。

「はい、折角のお誕生日ですから。ケーキでお祝いするのが礼儀ですが、
まだ私はアップルパイしか作れませんので・・・・・・」
「そういう訳で俺も作業を手伝うのだけど、良かったら麻衣とミアにも
手伝ってもらえないかと思って・・・」
「それいいね!みんなで手作りのケーキって。わたしもレアチーズケーキとか
作ってみようかな?」
麻衣が笑顔で快諾する。

「お任せください!あ、それなら私も月麦ケーキを作りましょうか?」
「「「月麦ケーキ?」」」
「はい、私の母の自慢のお菓子です。ただ月麦粉が無いと味が変わってしまうので・・・」
「それなら月人居住区のお店か礼拝堂ならあると思うぞ。他に特殊な材料はあるか?」
「後は月牛のミルクですが、これは地球のものでも大丈夫です。量は・・・」
「和真、ミア少しいいかしら?」
「フィーナ」
「姫さま、どうかされましたか?」
「月麦ケーキなんだけど、私もお手伝い出来るかしら?」
「ええ!?姫さまもお作りになるのですか?」
「折角の菜月の誕生日ですから、私も心を込めたものを贈りたいのです。ミア、
御教授お願いできるかしら?」

「姫さま・・・・・・はい!もちろんです。姫さまとご一緒に料理が出来るなんて・・・
母様も喜びます」
「ふふふ・・・・・・クララもビックリするわね」
「仁さんじゃないが・・・・・・月と地球の共演だな。よし、明日はキッチンに集合だ!」
「「オー!!」」
「頑張ります!」
「楽しみね」

翌日・月人居住区
「以上でよろしかったでしょうか?」
「はい」
「・・・・・・のお返しになります。ありがとうございました」
「和真さん、レティシアさまありがとうございます。お買い物まで手伝っていただいて」
「いやいいよ。俺たちも月の食材には興味があったし・・・それに」
「それに・・・何ですか?」

「実はミアさんに紹介したい人が居るんです」
「え?」
「私の知り合いなんですが、ミアさんにも会ってもらいたいんです」
「え?レティシアさまのお知り合いですか?」
「はい。私の大切なお友達です」



同時刻・朝霧家
「ただ今戻りました」
「ただいま~」
「おかえりお兄ちゃん、フィーナさん」
「あれ?麻衣だけか。兄さん達は?」
「うん、玄関に書置きがあって『ミア達と居住区に行って来る』だって。
多分昨日言っていた月関係の材料買いにいったんじゃないかな」
「そういえばミアが楽しみにしていたわね」
「何の話?」
「あ、お兄ちゃんは居なかったね。実は・・・」
「へ~皆でケーキを手作りか・・・そういえば俺達が小さい時も
母さんと兄さんでケーキ作ってくれたよな」
「そういえばそうだね・・・和お兄ちゃん凝り性だったから、材料の買出しも
『コレはあそこのじゃなきゃな』って駅前の専門店とか行っていたし」
「飾りつけはそんなにしないけど『元が悪ければいくら飾っても駄目だろ』って張り切るし」
「・・・その光景が目に浮かぶわね」
「フィーナもそう思うか?カテリナに通い始めた頃からかな。兄さんってそれまでお祭り事には
無関心だったんだけど、学園祭を終わってからは『楽しい時には皆に過ごす事が大切だな・・・』
って言って商店街の行事とかにも積極的に出るようになったし・・・」
「そうそう。夏祭りなんかだと町内会の代表で運営委員になったし・・・
でも駅前大食い大会で優勝した時は驚いたよね・・・・・・確か商品で
『海の見える丘旅館宿泊券と高級釣竿6点セット』って聞いて飛び入り参加したって・・・」
「ああ・・・兄さんの釣り好きは知っていたが、あれは物凄かったな。それっきり参加しなくなったが、
ブッチギリの優勝で『満弦ヶ崎のフードマスター』なんて渾名が商店街でも噂になったし・・・」
「そ、そうなの・・・・・・」
思わぬ武勇伝に言葉を失うフィーナだった・・・

「あ、お兄ちゃん。イタリアンズの散歩ってこれから?」
「いや、これからバイトだからな・・・」
「だったら、私が行ってきてもよいかしら?」
「フィーナが?」
「ええ、先日達哉と一緒に行ってコツも教授してもらったし、私一人でも大丈夫よ」
「イタリアンズもフィーナさんに懐いてるもんね」
「・・・言うなよ。気にしているんだから・・・麻衣や兄さんはいいよな。何もしなくてもみんな懐くんだから」
「あー!そんなこと無いよ!わたしも散歩に行くときはちゃんと演奏しているもん。
お兄ちゃんの散歩と違って癒し効果があるんだから」
「兄さんなら納得できるけど、麻衣の腕前ではな~」

プチッ!

「お・に・い・ちゃ~ん・・・・・・ご飯抜きになりたいの」
「ご、ゴメンナサイ・・・そ、それじゃフィーナお願いできるかな?」
「ええ。任せてね」

そよ風が吹く物見の丘公園に一際大きな鳴き声が響く。
イタリアンズのリードを懸命に操作するフィーナであったが・・・
「わふっ!ワフワフ!!」
「もう・・・カルボナーラ、もう少しゆっくり走りなさい。アラビアータとペペロンチーノはおとなしいのに」
「オン?」
「??」
「でも・・・楽しいわね。こんなに気持ちがいい風が吹いて・・・・・・あら?」

モニュメントのそばに満弦ヶ崎湾に続く遊歩道があるが、そこまでは行った事が無かった。
ふと、冒険心がフィーナに起こる・・・
「・・・まだ時間もあるし、少しぐらい寄り道しても大丈夫よね」

遊歩道を降りると、湾岸付近に小さな公園があった。直接海に流れ込む形式の公園だ。
その水辺の一角には・・・
「にゃ~」


黒猫を伴った黒いトンガリ帽子に同じ色のマントを羽織った、背の低い少女が釣り糸を垂らしていた。
栗色の髪にダークレッドの瞳。満弦ヶ崎では見かけない姿である
「わんわん♪」
突然カルボナーラが少女の方に走り出した
「ちょ、ちょっとカルボナーラ!?」
慌ててリードを引こうとするが、時遅く、リードから逃れたカルボナーラは少女の元へ・・・

「え?わっわわわわ!?何々!」
いきなり抱きつかれる・・・というより少女の体の大きさから
「襲われる」ようにしか見えないが、とにかくもみくちゃにされてしまう
「も、申し訳ありません!大丈夫ですか?」
「ケホケホ・・・・・・う、うん大丈夫・・・貴女の飼い犬?」
「私のというより・・・『我が家の家族』です」
「そうなんだ・・・そちらの2匹の方が大人みたいだね」
「分かるのですか?」
「うん。まあね・・・・・・家族だそうだけど・・・この辺りの人じゃないよね?もしかして・・・月の人?」
「え?ええ・・・そうです。あ、私はフィーナ・ファム・アーシュライトです」
「私はラピス・メルクリウス・フレイア・・・先に言っておくけど月人ではないよ」
「そうでしたか・・・あ、釣りの途中だったの・・・」
「いいよいいよ、釣るつもりは無かったし・・・」
「にゃにゃ!?にゃ~~~」
「あ、ピア!?」
悲鳴がする方向では少女の傍に居た黒猫がカルボナーラに文字通りおもちゃにされていた・・・

「もう!カルボいい加減にしなさい!」
「オン・・・」
「本当に申し訳ありません・・・元気がいいのは良いことですが・・・」
「あはは・・・ピアもとんだ子に気にいられちゃったね。この子はピア。私の友達。あ、それと無理に敬語使わなくてもいいよ。私は気にしないから」
「そうですか・・・ええ、それなら。でも・・・貴女や猫が」

そう言ってフィーナは視線を彼女の衣服に向ける・・・案の定彼女のマントといい、帽子といいカルボナーラの体毛で白くなってしまっている。傍のピアも同様だ・・・
「もし良かったら、お詫びをさせてもらえないかしら」
「いいよ・・・・・・と言いたいけど、確かにこの有様じゃあね。うん、好意に甘えるよ」
「良かったわ。では、家に戻りましょう。あ?お家に連絡は?」
「今は一人暮らしだから大丈夫だよ。私のことは『ラピス』でいいよ」
「では私も『フィーナ』と呼んでね」
「よろしくね、フィーナ」
「よろしくラピス」

「おお、お帰りフィーナ・・・その子は?」
「ただ今戻りました。実は」
「そうか・・・全くカルボも困ったもんだ・・・ラピスだったか?君も本当にすまない」
「ううん・・・・・・ところで貴方は?」
「ああ俺は朝霧和真。ここの長男・・・・・・って魔法使い?」
「え?」
「そう見える?」
「違うのか?それとも・・・・・・・一部で流行の『こすぷれ』とかか?」
「・・・違うよ。まあこの辺りでは珍しいけどね」
「??」
「ふむ・・・そっちの猫は腹を空かせているみたいだな。ミルクでいいか?」
「うん大丈夫。ありがとうね」
「君も着替えたほうがいいな。フィーナ、悪いが浴槽は洗ってないから彼女のシャワーを頼まれてもいいか?俺は支度をしてくる」
「ええ・・・和真お願いします」
「気にするな。賑やかなのは嫌いじゃないからな・・・着替えは・・・麻衣~!少しいいか?」
そう答えると和真は麻衣の居るキッチンへ向かった

「何だか慌しい人だね」
「今は明日の準備をしているからよ。普段は落ち着いた感じよ」
「ふーん・・・何だかクリフに少し似ているかな?」
「クリフ?」
「ううん、こっちの話。お風呂借りられるみたいなんだけど」
「あ・・・ごめんなさい。こちらよ」

「にゃ~ご・・・にゃー」
「そうか・・・お前も苦労したんだな・・・」
「そうなの?」
「ふぅ・・・いいお湯だったよ・・・ってピア?」
「にゃっ♪」
リビングに入ってきたラピスを麻衣の膝にいたピアが跳んで迎える


「ああ上がったか」
「どうかな?私のお古なんだけど、サイズは合っているかな?」
「うん。少し袖と丈が長いぐらいかな?ところでピアと話していたみたいだけど」
「ああ、『話していた』訳ではないが、経験則で動物の表情を見れば何かしらの感情は理解できる。
彼女の表情だと結構難儀していたみたいだが?」
「う~ん・・・そうかも。ここに来てから色んな事があってね・・・」
「・・・そうか。フィーナから聞いたが、一人暮らしだそうだな。もし心細いと感じたら、家に来てくれ。飯ぐらいなら何とか出せるぞ」
「え・・・でも」
「わたしは大丈夫。一人増えても料理の手間は変わらないよ」
当惑するラピスに麻衣が笑顔で答える

「さっきも言ったが、賑やかなのは嫌いじゃない。それに俺はこれでも人を見る目は持っているつもりだ。
悪意の有無ぐらいなら見抜ける・・・・・・ウチには悪意はおろか、人を疑うことも知らん娘が居るからな・・・」
「・・・和お兄ちゃん、それは言い過ぎなんじゃ・・・」
「へ~ところでフィーナってどんな人なの?明らかにカズマたちとは雰囲気が違うけど?」
「え、え~と・・・」
「ふむ・・・・・・俺が言うよりフィーナから答えてもらうほうがいいぞ。彼女は自らを表すタイプだからな」
「みたいだね・・・まあ何となく予想は出来るけど」

ふとラピスは視線を感じてその方向を向くと、和真が怪訝そうな表情を見せる
「・・・悪意は無いが・・・君は見かけ通りの歳じゃないな?」
「・・・やっぱり分かっちゃう?」
「フィーナへの態度とか今までの応答を見たら大体な。少なくとも俺や姉さんよりも上と視るが?」
「え!?そうなの?」
「ま、それはご想像にお任せするよ・・・自分でも言うのもおかしいけど、ここで事を起こす気は毛頭ないから」
「ああ。それは信じるさ・・・・・・今の時点ではだが」
「疑り深いね・・・」
「そういう『仕事』に従事しているものでな・・・気を悪くしないでくれ。それと・・・」
「まだあるの?」
「君の素性を・・・と思ったが止めた。知らないほうが良いことというのもあるだろうしな」
「ありがと」

「和真さん『魔法使いさん』の着替えは終わりましたか~?」
「ああ、今話し込んでいるところだ」
「・・・申し訳ありません。ケーキ作りで手が離せなくて・・・」
「あ、ごめんねミアちゃん。後はわたしがやるよ」
そう答えると麻衣と入れ替わる形でキッチンからメイド服姿の少女がリビングに現れる。

「ほえ~メイドさんを見るのは久しぶりだね・・・」
「そうか・・・って見たことがあるのか?」
「まあ、私の住んでいたところでも王宮か屋敷以外には流石に居なかったけど」
「・・・そういう所と付き合いがあるのか」
「ミア・クレメンティスです。あの和真さん、こちらの方と姫さまはどういったご関係ですか?」
「・・・イタリアンズが粗相した以外では・・・・・・無いか?」
「そうだよね・・・・・・君って随分いい加減だね」
「いやまあ、フィーナが連れて来た子だから信用できるとは思ったのだが」
「お洋服のほうですが、厚手の生地なのでしばらく時間がかかります」
「そうなんだ・・・」
「そろそろいい時間だしな・・・姉さんが帰ってくる頃・・・」

「ふう、ただいま~・・・・・・あらお客様?」
リビングで話していると玄関からさやかの声が響いた。
「あら、さやかお帰りなさ・・・・・い?」
リビングに入ろうとしたフィーナが言葉を切る・・・見るとさやかがラピスの方向を見て固まっている

「あ、姉さんおか・・・」

「か」
「「「「か???」」」」
「か~わい~~~~いぃぃ!!」
そう叫ぶと、一目散でラピスに近づく。そして抱きしめた
「わわっわあああ!?」
「や~ん可愛い♪どうしたの?何処で見つけてきたのこんなに可愛い子を!」
「あちゃ~お姉ちゃんスイッチ入っちゃったみたい」
「ああ・・・姉さん可愛いものには目がないからな・・・しかしこれほどの反応は珍しいな・・・よほどツボだったみたいだな・・・」

「ちょ、ちょっと苦しい・・・うぷっ!?」
「にゃにゃにゃにゃ~~~~」
「あ~んもう、コッチのネコちゃんも可愛い!このままお持ち帰り~♪」
「ちょ、ちょっと・・・さやかを止めないと・・・」

「「無理」」

「ええええ!?」
「あの状態のお姉ちゃんは止められないよ・・・」
「あそこまでツボに填まった姉さんには生半可な手段では逆効果だ。彼女の抵抗も『火に油を注いでいるようなもの』だな」
「・・・・・・」
「レティの時は運が良かったな・・・『俺が連れ込んだ』って事実で驚いてくれてたから」
「『仕事明けのお姉ちゃん』ならレティさんにも絶対反応したはずだもんね・・・」
「ミアの場合は・・・・・・事前情報だったおかげだな」
「ええ!?私もああなってしまうところだったんですか!」
「・・・なったと思うよ。ミアちゃん『リスさん』みたいだから」
「小動物みたいな感じだと、とたんに姉さんの『可愛い』スイッチ入るからな・・・」

「ご、ごめんなさい・・・仕事で疲れちゃっていて・・・微妙にハイテンションだったから・・・」
「・・・確かにお客様に対する態度では無かったわね・・・」
流石にこの惨状ではフィーナの端正な顔も曇り気味である

「あーフィーナ、まあそんなに姉さんを責めないでくれ・・・」
「ええ・・・さやかの多忙も理解しています。ですが、招いた私としては・・・」
「いいよいいよ・・・・・・確かにいきなり抱きつかれた時は驚いたけど、気にしなくていいよ」
「え、えーと・・・ラピスちゃんだっけ?」
「うん、ラピス・メルクリウス・フレイア。こっちが友達のピア」
「うにゃ~」
「時間が時間だけにな、彼女も一緒に晩飯をと思ったが・・・良いよね?」
「ええ・・・もちろんだけど・・・時間は大丈夫?」
「カズマ達にも伝えたけど、私は一人暮らしだから問題ないよ」
「じゃあ折角だからお泊りして行きましょう♪」
「「えええ!?」」
いきなりのさやかの提案にラピスと麻衣が同時に驚く

「お、お姉ちゃんちょっとそれはいきなりなんじゃ・・・」
「そ、そうだよ・・・」
そう言ったラピスはフィーナと和真の二人を見ると


「私も出来れば貴女とは色々お話してみたいわ。貴女が迷惑でなければだけど・・・」
「俺も構わない。部屋は・・・・・・フィーナ、頼めるかな?」
「ええ。ミア、彼女と一緒になるけど・・・構わないかしら?」
「分かりました。ではお布団を用意すればいいですね?」
「ええ!?私の部屋は?」
「却下です・・・・・・姉さんと彼女を一緒にしたら、それこそ姉さん暴走しちゃうでしょうが」
「くすん・・・・・和真くんの意地悪」
自らの希望(妄想)があっさり否決され、のの字を書くさやかであった・・・


「さて、この話はこれで終わりだ。そろそろ達哉とレティが帰ってくるし」
「・・・もう確定なんだ・・・」

「ただいま~」
「ただいま戻りました~」
「噂をすれば・・・だね」
「皆さん食器の準備をお願いしてもよろしいですか?」

「姉さん見慣れない靴が合ったけど、お客さん?」
「失礼します・・・・・・え?ラピスさん!?」
「え?・・・・・・レティシア!?」

「そうだったんだ・・・・・・私達以外にもエレノアやシルフィも来ていたんだ」
「はい・・・」
夕食のピラフを片手にこれまでの経緯を聞くラピス。ちなみに椅子の方は物置にあった小さい時のものである

「何か心当たりはあるかしら?」
「そうだね・・・・・・無い訳じゃないけど」
フィーナからの質問に対して暫く考えるしぐさをしたラピスが呟くように答える。

「本当ですか!?」
「え・・・あ~うん・・・」

「どうした?何か都合が悪いのか?」
が、レティシアの顔を見て言葉を濁すラピスに和真が尋ねる。
「そういう訳じゃないけど・・・『今の時点』で結論を出すのは良くないかな・・・と思って」
「・・・・・・そうか。もし、都合が付いたら話してもらえるかな?」
「そうだね。その時は」

♪~胸に 宿る~熱き 彗星は~♪
夕食を済ませてリビングで寛いでいた和真にラピスが声を掛ける
「・・・何だかすっかりお邪魔しちゃってるね」
「気にするな・・・・・・しかし、君は『状況に慣れている感じ』だな。レティが初めて此処に来た時は見るもの全部興味があったのに」
「・・・あ」
「シンフォニアから来たというのはレティの反応見れば一目瞭然だが・・・君は彼女達とは随分変わっている印象を受けるぞ」
「鋭いね・・・結論から言うと私は君達の世界と『近しい場所の出身』なのかな」
「・・・そうか。出来ればたまに遊びに来てくれないか?その方がレティも喜ぶし、麻衣達も歓迎すると思う」
「そうだね。レティシアもそうだけど、シルフィやエレノアの経緯も聞いておいたほうが良さそうだし・・・」
「なら、明日の誕生会にも出席してくれ」
「誕生会?」


「ああ。うちの隣の子の誕生日が明日でな。その席に二人も招く予定なんだ。その際に確かめればいい」
「でも・・・面識がない私が誕生会なんて出ていいものかな?」
「なに、彼女達も菜月ちゃんたちとは初対面だからな。一人増えるくらいどうということは無い」

「ねえ・・・仮にも今日初対面の人間に少し警戒心が無くない?夕方はあんなに疑っていたのに・・・」
これまで抱いていた朝霧家に来てからの疑問を和真にぶつける

「言われるのは確かに同感なんだが・・・応えるべきだな。一つ目は『レティの知り合い』というので信用している。次に『フィーナが招いた客人』ということでもう一つ。そして、これは・・・・・俺や姉さんの勝手な願いだが・・・君が一人でいるのを『黙ってみていられない』のが第一だ」
「・・・・・」
「驚いているな?今の君には理解しづらいかもしれないが、我が家にとってはフィーナもレティも『血の繋がり』はなくとも大切な家族だ。そんな繋がりが無くても家族は成立する・・・・・これは我が家の家訓に近いかもしれないかな?」
「・・・そうなんだ」
「納得してくれたか?」
「うん・・・君が親身になったのが分かる気がするよ。レティシアの時も?」
「いや、あれは単に放っておくと何処に行くか訳が分からんと思ったんで咄嗟に手が出ただけだ」
「あははは・・・意外と容赦が無いね」


翌朝。
「じゃあ、8時過ぎくらいにこっちに来れば良いんだ?」
「はい。私は達哉さんとお仕事なので、皆さんとご一緒に来て下さい」
「分かった。じゃあ、また夜に」
「にゃ~」
「気をつけてな」
「お邪魔しました~」
玄関でラピスは今夜の予定を確認して街に戻っていった


「じゃあエレノアさんは私が帰りに大使館に迎えに行くから」
「さやかさんお願いします」
一昨日の夜、大使館に連絡を取ると
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

トゥルルル・・・カチャ
「はい、こちら満弦ヶ崎月大使館です」
「あ、エル?」
「姫。どうかなさいましたか?こんな時間に」
「もう!エル、今の私は「レティ」ですよ」
「も、申し訳ありません!」
「あと敬語も不要です」
「さ、流石にそれは・・・」
「分かっていますよ。実はねエル・・・」

「承知しました。では私の仕事が終わってから穂積さんとご一緒にそちらに向かえば宜しいですね?」
「はい。急なお願いですみません」
「いえ。私もレティがお世話になっている方々にご挨拶をと思っていましたのでよい機会です」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「シルフィさんは俺が迎えに行って・・・そのまま暫く過ごしてもらうということで良いか」
「あ・・・和真さん。私もご一緒しても宜しいでしょうか?」
「ミアが?」
「はい。シルフィさんとはお花のお話で盛り上がりましたから」
「それなら・・・ミアが迎えにいくのはどうかしら?」
「ひ、姫さま!?」
「ミアが趣味であんなに熱を入れるのは珍しいから・・・そういう人と時間を過ごすのも良い機会よ」
「で、ですが・・・」
「ミア、家事なら俺に任せてくれ。最近ミアが張り切りすぎで俺の当番でも仕事が無くてな・・・羽休めでもしてくれ」
「和真さん・・・」
「頑張るのは確かにミアの美点だ。だが、たまには自分だけに費やす時間があってもバチは当たらんぞ?」
「ええ。ミア、折角の機会なのですから楽しんでいらっしゃい」
「・・・はい!ありがとうございます」

「ありがとう和真。私だけでは上手く説得できませんでした」
「ま、こういう時は男の甲斐性が押しの一手になるもんだ」
「あら?それはミアに気があるということかしら?」
「・・・仁さんからの受け売りだよ。『キミはもう少し女性に親身にならんと嫌われるよ』とな・・・流石に家族から嫌われるのは勘弁したいからな」
「・・・貴方に女性が嫌う要素なんてあまり無いと思うけど」
「・・・そうか?俺は、ご覧の通りの強面だし、正直笑うのは苦手だ・・・女性特有の趣味にはとんと疎いし、子供からも怖がられそうだし・・・何より普段の俺は仕事馬鹿と言われているからな」
「・・・そう」
一瞬だがフィーナが溜息を漏らす
「??」

AM8:00・玄関
「では、行って参ります」
「いってきまーす!!」
「行って来ます」

「皆さん、お気をつけて~」
「姫さま、達哉さん、麻衣さん。いってらっしゃいませ!」
「気をつけてな」

「みんな、おはよう~」
「あ、菜月ちゃん。おはよう」
「よう、おはよう」
「おはようございます菜月」
玄関を出てしばらく歩くと、後ろから菜月に声を掛けられる

「うん・・・・・・あの、達哉」
「・・・何だ?」
「・・・な、なんでもないよ!・・・あ、私日直だから先に行くね!」
たったったっ・・・・・・


「・・・やっぱり少し罪悪感がありますね」
「我慢我慢。みんなで約束しただろう?麻衣、ケーキとかの進行状況は?」
「ご心配なく。私のレアチーズはもう出来ているし、ミアちゃんたちも下ごしらえは和お兄ちゃんがしっかり確認していたから。後はタイミングを見て仕上げの作業と焼くだけだよ」
「ミアもそうだけど、和真は人に物事を教えるのが上手ね・・・意外と先生向きかもしれないわ」
「そうだな・・・俺がカテリナに受験する時も、兄さん付きっ切りで勉強教えてくれたしな・・・先生よりも分かりやすかったよ。
模擬テストの結果が悪いと徹底的に叩き込まれたけどな・・・」
「そうだよね~お兄ちゃん、あまりの厳しさにたまに泣きそうな顔していたもんね」
「い、言うなよ・・・あの時は兄さんを『鬼!悪魔!』って言ったけど、今は感謝しているよ・・・」


「ふう・・・遅くなっちゃった・・・達哉とフィーナは授業終わったら真っ先に帰っちゃったし・・・」
日直の仕事を終え、一人家路に付く菜月

「翠から誕生日プレゼント貰えたけど・・・みんなやっぱり覚えてないのかな・・・お父さんも兄さんも何も言っていないし・・・」
少し落ち込んだ表情で商店街に行くと・・・

「・・・良いものが見つかってよかったわね」
「ああ、後は兄さんからの頼まれ物を買うだけだけど・・・」
「あら~たっちゃんが美人さんとお買い物よ!」
「おいおい!菜月ちゃんという可愛い子がいるのにいけないやつだな~タツ坊は!?」
「ち、違いますよ!ゲンさんも奥さんも勘弁してくださいよ!!」
「初めまして。フィーナと申します」
「あらま~礼儀正しい子だね。レティちゃんといいミアちゃんといい、朝霧さんちは気立てが良い子が集まるわね」
「え?あ、そうか・・・レティも買い物担当しているもんな」
「おう!あんなに可愛くて、明るくて、それも元気がいい子。和真坊も隅に置けないな!」
「そうそう!この間なんか、カズちゃんとレティちゃんがね・・・」

「・・・なんで隠れているんだろう私・・・」
達哉とフィーナが行動を共にしているのは当然ではないか。二人とも「一つ屋根の下」なのだから・・・

だが、今日はより一層の寂しさを感じた・・・

PM9:00・『トラットリア左門』近く
「もう!お父さんたら、こんな時に買出しなんて・・・忙しい時なのにド忘れしないでよ!!」
珍しく父に悪態をつく菜月。時間は少し遡る

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あ?おーい!菜月、ホールトマトが切らしちまった!悪いが買ってきてくれないか!?」
「え~!?こんな時間に」
「頼むよ、菜月。達哉君もレティちゃんも今手が離せないらしくてね・・・」
「も、申し訳ありません菜月さん・・・」
「ほら、急いでくれよ~後の作業は俺たちで何とかするからさ」
「もう・・・分かったわ!何個必要?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「・・・って、あれ?もう消灯しているし・・・クローズが早すぎない?」
いつもと違う我が家の様子に訝しげな表情を浮かべながらも、菜月は入り口の扉を開ける・・・

パン!!パーーーーン!パパン!!


「え!?ええ!?」
見ると店内中央にテーブルが寄せられて、卓上には料理が並んでいる。そしてその卓上の中心には
『HappyBirthaday Natsuki』の文字が入ったケーキとその横にアップルパイとチーズケーキがあった

「「「「「「「菜月(ちゃん)(さん)、お誕生日おめでとう(ございます)!」」」」」」」」
「えええええええ!?」
思わぬ事態に驚愕の表情を浮かべる菜月

「ビックリしているね・・・済まない。皆で菜月ちゃんを驚かせようと思ってな・・・少し捻った感じにしてみた」
「ごめんなさい、菜月さん・・・」
「和真さん。レティ・・・」
「いや~本当にバレやしないか冷や冷やだったよ~」
「仁さん・・・菜月、これ・・・」
一同から前に出た達哉が白いプレゼント箱を差し出す。

「こ、これって・・・」
「ティーカップのセット。デザインはフィーナのお墨付きだから良いものだぞ」
「気に入ってもらえると良いけど・・・」
(じゃあ、あの時の二人は・・・)

「わわ!?な、菜月。どうして泣くの!?」
「あ~お兄ちゃん、菜月ちゃん泣かせた~」
「・・・達哉、女性を泣かせるのはいけないことよ」
「ええ!俺のせいなのか!?」
「そりゃそうなんだろう・・・菜月ちゃんが楽しみにしていたのを黙っていたのだから・・・」
「ちょ、ちょっと兄さん!みんなで黙っていようって言ったんじゃないか!?」
「いやいや~罪作りな男だね~達哉君は」
「仁さんまで!!」
「あ、あの・・・きょ、今日は菜月さんのめでたい日ですので・・・」
慌ててミアが仲裁に出る

「まあ、お前の記憶に残るよう、皆で張り切った結果だ。機嫌を直してくれ」
「まったく・・・・・みんな意地悪だよ」
そう言って涙を拭いた菜月の笑顔は・・・最近見られなかった明るいものであった・・・

カランカラン♪
「ただいま~」
「お邪魔いたします」
「失礼します」
「約束どおり来たよ~♪」
「にゃ~」

さやかの声と共に後ろから三人の女性と一匹の猫の声が響く
「遅れちゃったけど・・・菜月ちゃん、お誕生日おめでとう」
「え?」
「あ・・・菜月さん、ご紹介します。私の・・・」

「皆様、お奄ノお目にかかります。エレノア・フォートワースと申します。レティとは・・・以前、仕事で彼女の護衛をしておりました」
「へ~レティちゃんにこんな美人の護衛さんがいたとは・・・ホンモノのお嬢様だったんだな」
「そりゃ、あーいう世間知らずなら居て当然なのでは?」
「和真君は相変わらずの毒舌だね・・・・・・しかし、声が菜月に似ているね?」
「む・・・言われてみれば。菜月ちゃんが落ち着いた感じに聞こえますね」
「そうですか?・・・私にはあまり・・・」
「あ、初めまして!鷹見沢菜月です」
「こちらこそ。レティからお話は伺っております。いつもお世話になり、誠にありがとうございます。そして、お誕生日おめでとうございます」
「いえいえいえいえいえ!!レティにはこちらがお世話様になっているんでございますです!!」
「Oh~菜月~噛んでるよ~」
「っるっさい!」


パカ~ン
「はぁがっしゃ!?」
「す、すみません!」
「くすっ・・・いいんですよ。これからもレティをよろしくお願いします」
「こ、こちらこそ!」
「初めまして・・・菜月の父の鷹見沢左門です」
「恐れ入ります。レティがお世話になっております」
「もう!エルってばそればかりなんですから」
「あはは・・・彼女が来てからはウチも明るくなっていますよ。大使館にお勤めだそうですが、機会がありましたら、是非当店に足を運んでください」
「はい」

「シルフィ・クラウドです。月居住区の礼拝堂で司祭様のお手伝いをしております」
「そうでしたか・・・礼拝の日にお目にかかったけど・・・ご挨拶が出来なくて・・・フィーナ・ファム・アーシュライトです」
「あ・・・スフィア王国の王女様なのですよね・・・」
「お気になさらず。ここでは私は朝霧家の一員ですから・・・必要以上に硬くならないでください」
「は、はい!」
「シルフィさんはお花や野草にとてもお詳しいのですよ♪」
ミアが明るい表情で言う

「そ、そんなこと無いよミアちゃん・・・まだまだ私なんか・・・」
「シルフィ、ミアさんとは随分親しそうね?」
二人双方に面識があるエレノアがシルフィに尋ねる

「うん。以前お仕事を手伝ってもらってからかな?エルちゃん・・・大使館のお仕事大丈夫?」
「ええ、大変だけどやりがいがある仕事よ」
「そうなんだ・・・良かった」


「えーとシルフィさん・・・で良いのかな?はじめまして。鷹見沢菜月です」
「初めまして。今日はおめでとうございます」
「あ、ありがとう・・・今日初めて会うのに、こんなに綺麗な花束まで貰えちゃうなんて・・・」
「いいんですよ。祝い事を笑顔で祝福するのは当り前のことですから」
「うん・・・ありがとう」

「えーと最後になったけど、ラピス・メルクリウス・フレイア。こっちが友達のピア」
「にゃ~」
「おやおや、これは可愛いお嬢ちゃんだな。レティ、彼女は?」
「あ、はい・・・」
左門からの質問にレティシアが咄嗟に和真とラピスに振り向くと・・・

「今までお仕事で西の国に行っていてね。レティシアとはその時に色々教えた仲なんだ」
「俺は・・・仕事をしていた時に。流石にその格好で現れた時は驚いた」
「まあ・・・そういう仲です」
「そうか・・・カズにも面識があるとは・・・見た目程お嬢ちゃんではないみたいだな。こちらにはどれくらい滞在しているんだい?」
「とりあえず、予定は未定です」
「気が向いたらで良いからウチに食べに来てくれよ。サービスするよ」
「そうするね~♪」
「え、えーと」
「あ、ごめんなさい・・・あなたの誕生日だったね。はいコレお誕生日のプレゼント」
「え?いいんですか?」
「良いも何もあなたに贈るために持ってきたんだけど・・・気に入るかな?」
「・・・わ~これ・・・」
箱から現れたのは淡い蒼色の光を放つ球体だった・・・



「周りの音声とかに反応して光ったり、点滅したりするんだ。
一回声が掛かるとスイッチが入って、対象を認識するとその周囲を回るように出来ているから」
「すっご~い・・・どんな仕掛けなの?」
不思議な光景に思わず身を乗り出してラピスに質問する麻衣

「それは企業秘密だよ。まあこの辺りだと材料を手に入れるのに事欠かないから、機会があったら麻衣にも作ってあげるよ」
「ホントに!?約束だよ!!」
「ありがとう。不思議な感じだけど・・・綺麗で可愛い。うん!気に入ったよ」

「あ、菜月さん。私達はケーキを作ってみました」
「も、もしかしてこの3つのケーキって?」
「いや、仁が作る予定だったんだが、カズとレティに『こちらで用意したいのです』って言われちまってな・・・任せてみたら三つも持ってくるとはな~」
「ちなみにアップルパイは私が、レアチーズケーキは麻衣さんが、月麦ケーキはミアさんとフィーナさんの共同作業です」
「月麦ケーキ?」
「はい。月麦粉で生地を作ったものです。甘みは控えめにしましたので、どなたでも食べられるはずですよ」
「私もミアから教わったの」
「俺も味見させてもらったが、サッパリして後味も良いぞ」
「月麦ケーキは久しぶりね♪じゃあ、皆さんいただきましょう」

「美味しい!」
「ほ、本当ですか!?」
「うん。表面のサックリさといい、生地の中のふわふわ感といい、凄く美味しいよ・・・」
「これは驚いたな・・・賄いの手伝いを任せた時に随分手馴れているなと思っていたが・・・
おい仁、これは本気でお前の座が危ういぞー」

「何を仰るやら・・・障害は高ければ高いほど萌えるじゃないか!」
「・・・仁さん、字が違いますよ」
「本当・・・素晴らしいわ」
「ありがとうございます!フィーナさんにそう言って貰えると自信がつきますね」
「わ!ホントに美味しいよ」
「本当ね・・・紅茶も美味しく頂けるわ」
「本当に腕を上げられましたね・・・」
「ありがとうございます。でも、まだまだですよ」
「うん、とっても甘くて美味しいよ」
「これなら何個でも食べられるね・・・ピア、お行儀悪いよ」
「な~にゃっ」
レティシアのアップルパイは大好評



「素晴らしいですレティシア様!あの・・・後でレシピを教えていただけますか?」
「あ、はい。あの・・・和真さんどうですか?」
「ああ・・・ただ、少し甘みが強いな」
「あ・・・こちらではりんご亭の時みたいな酸味が強いリンゴがなかったので・・・」
「いや、文句を言ったわけじゃないよ・・・この味は俺好みだよ」
「そ、そうですか!?」
「ああ、これならお店でも充分メニューとしても定着する・・・そうですよね、おやっさん?」
「ああ・・・だが、どうやらそれだけでは無さそうだが・・・」
「?何がですか?」
「いや・・・こっちの話だ・・・」


「あ、確かに思ったよりも甘くない・・・でも美味しい・・・」
「はい、グラニュー糖を減らして代わりに甘みが少ない粒子が細かいものを使いました」
「バターは塩分が少ないものを使って・・・間にチョコを挟んだの」
「どこか上品な味がするね・・・俺は甘いものがあまり好きじゃないけど、これなら全然大丈夫だ」
「本当ですか?達哉さんありがとうございます!」
「菜月も満足していただけたかしら?」
「うん!・・・・・・でも、自信なくしちゃうな~」
「え?」
「レティといい、フィーナといい・・・私の周りってみんなお料理が上手いんだもん」
「そんなこと無いわ。私も教わったばかりの時は失敗があったわ。要は・・・気持ちの持ちようよ」
「そ、そうですよ!菜月さんはマスターの娘さんなんですから。きっとすぐ上達しますよ」
「フィーナちゃん、レティちゃん・・・それは無理なんだ」
頭を振って仁が現れる・・・

「え?仁さんそれはどういう・・・」
「菜月は料理の何たるかを理解していない!そもそも能書きは・・・・・・らぺんでぃあ!!?」

ボゴッ!
「私のことは黙っててよ!」
「・・・・・キジも鳴かずば撃たれまいに・・・仁さん、無茶しやがって・・・」
「突っ込まずにはいられない体質みたいだね仁さん・・・」
「まあそれが仁くんのキャラだしね」
「姉さん、さり気に酷いこと言っていません?」

「ふぅ・・・食べた食べた・・・ご馳走様でした」
「本当に、楽しい誕生会でしたね」
「そうだね・・・」

「あの、皆さんまで片付けしていただかなくても・・・」
宴も幕を下ろし、それぞれ思い思いの時間を過ごす・・・エレノアとシルフィ、ラピスは後片付けを手伝っていた
「いいのいいの。今日はナツキのお誕生日なんだから、ナツキは休んでいないと」
「そうですよ。それに菜月さんは今日は主賓です。パーティで主賓に片付けなど言語道断です。
私はりんご亭の手伝いで慣れていますから」
「うん。だから菜月さんはゆっくりしていて」

「達哉、フィーナ・・・今日はありがとう」
「あら?私たちにお礼を言う前に・・・」
「先にお礼しなきゃいけない人たちが居るだろ?」
「あ・・・」

「おい仁、プレートの数は合っているか?」
「ああ、こっちは問題ない・・・」
「お父さん。兄さん」
「「ん?」」
「今日は・・・本当にありがとう!」
「何畏まっているんだ・・・俺達は家族だろ。娘の生まれた日を祝うのは当り前のことだ」
「あの、ハイハイしていた菜月がここまで大きくなるとはね~年を取ったもんだ」

「仁さん、俺よりイッコ上なだけでしょうが・・・」
「あ・・・和真さん、ありがとうございました!」
「いや、俺は仁さんの悪巧みに一枚かんだだけだよ・・・それより誕生日プレゼント気に入ってもらえたかな?」
「で、でも・・・良いんですか?あんな高価な物を・・・」

厨房の一角に鎮座する家庭用としては大型のスチームオーブン・・・それが和真のプレゼントだった・・・
「おお・・・そういえば、カズ俺も正直驚いたぞ。あんな代物持ってくるとは・・・」
「3年間祝えませんでしたから、その分ですよ。『給料三ヶ月分の告白』ではありませんが」
「和真君が菜月貰ってくれるなら、願ったり叶ったりなんだけどね~」


「ええええええ!?」
兄の爆弾発言に瞬間的に沸騰状態になる菜月・・・

「あはは・・・菜月ちゃんはいい子ですが、やはり俺にとっては『可愛い妹』ですよ。忘れたんですか?皆の幼稚園の送り迎えを俺や姉さんに押し付けてさっさと遊びに行っていた事を・・・」
「いや~なんのことかな・・・って!?菜月!!」
「・・・そうだったの・・・いつもいつも和真さんたちが私たちを迎えに来てくれたのにはそーいう訳があったの・・・」
「ちょ、ちょっと和真君!この状況で・・・・・って親父!?」
「仁・・・お前という奴は、年長者として恥ずかしくないのか・・・まあ、さやちゃんやカズのほうが先生の受けは良かっただろうがな・・・」
「お、落ち着いて・・・和真君助けてくれ!」
「あー・・・おやっさん、菜月ちゃん。もう時効ですからそれくらいで勘弁してあげましょうよ」
「・・・命拾いしたわね兄さん・・・」
「た、助かったよ・・・親父と菜月の背後に『ハート背負った王様』がいた錯覚を受けた・・・」
「仁、今日はこれから最後の戸締りまでお前が担当」
「酷っ!?」

やっぱり弄られ役は健在ということで・・・・・・・オソマツ!


旋律その9『紅の心』(くれないのこころ)fin

あとがき
何とか終了~
和真「・・・遅い」
うぐ!?そ、そんな殺気発しなくても・・・
和真「発するわ!!大体1ヶ月も開けるとは何事だ!?大体この回は菜月ちゃんメインだろう!?どーして誕生日前にKATIEさんに渡せなかった!?」
そ、それは本業が忙しくて・・・それに、シナリオが煮詰まって再構成していたらズルズルと・・・
和真「ふう・・・言い訳は見苦しいが・・・レティの誕生日前には上がるんだろうな?」
それは全力で!!(汗)


ラピス「は~い。今回のあとがき担当のラピス・メルクリウス・フレイアです」
さやか「皆さんこんにちは~♪皆のお姉さん穂積さやかです」
ギュ~・・・
ラピス「ちょ!サヤカ苦しい・・・」
さやか「む~ラピスちゃんといい、リースちゃんといい・・・可愛いのに」
ラピス「可愛いからって、あんなに強く抱きしめられたらあとがきの進行できないよ・・・」
さやか「じゃあ終わったらしても良いのね?」
ラピス「それも嫌・・・」

さやか「今回のタイトル『紅の心』って菜月ちゃんとラピスちゃんのことよね?」
ラピス「そうだね。ナツキのイメージカラーに私の『瞳の色』からだけど・・・かなり強引だね」
さやか「菜月ちゃんの誕生会を切っ掛けに私達の顔合わせということになったけど・・・フィーナ様とラピスちゃんのコンタクトはこれからの展開に影響があるかしら?」
ラピス「月の姫であるフィーナとある種の『鍵』である私だからね・・・あるんじゃないかな?」
さやか「企画倒れにならなければ良いけど?」
ラピス「それには同感だね・・・」

次回予告!
さやか「照りつける太陽!白の砂浜!無限に広がる青いコントラスト!やっぱり夏のイベントには海が欠かせないわ」
ラピス「私達は湖だけだったからね・・・「プリホリ」では見られなかった新しい展開があるかな?」
さやか「こうご期待!」

ラピス「そして・・・いつもの姿とは少し違った彼女の姿と幼い日の思い出が交差する・・・」
さやか「縁日!浴衣!林檎飴にたこ焼き、チョコバナナ~♪お祭りの最強コンボよ♪」
ラピス「サヤカ・・・キャラ違うよ。・・・私もツッコミ役って少し無理が無い?」
さやか「そんな最中、レティちゃんや和真くんの東奔西走する活躍があったり?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
射的屋・・・
「お、お客さん~もう勘弁してくださいよ~」
「え?もう駄目なんですか?まだ全然撃ち足りないのに」
「ていうか、レティ、何で『オクスタ〇ラ〇チャー』なんて持っているの!?」
「『オク〇タン』って「槍」って意味があるんですよ~」
「それエク〇レン姐さん!?」

形抜き・・・
「分の悪い『欠け』は嫌いじゃない・・・」
「とか言いつつ、全部パーフェクトに形抜いているのは何処の誰だい・・・」
「凝り性ですから」
「兄さん、微妙にキャラに合ってるんだけど、『その台詞』は締まらないよ・・・」
「どんな装甲でも撃ち貫くのみ!」
「装甲違う!?字が違う!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ラピス「するの?」
さやか「さあ?」
ラピス「PS2の『ス〇ロボOG』出来なくてストレス溜まっているんだね・・・」
さやか「ちなみに銀狼クンは『ダ〇ゼ〇ガー』と『ゲ〇ュ〇ンストMkⅡ・S』がお気に入りみたい」
ラピス「斬〇刀と究極!ゲシ〇ペ〇ストキック・・・ベタだね」

さやか「そんなこんなで次回『白銀の舞姫~金色の歌姫~千夜一夜』旋律その10!」
ラピス「『蒼の記憶~想い紡いで』・・・見てください」

さやか「じゃあラピスちゃん、終わったから一緒に~」
ラピス「助けて~~~~~~~」

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2007.07.21(Sat)  明け瑠璃SSCOMMENT(4)TRACKBACK(0)TOP
コメント

こちらへも久しぶりです~多分この名前でコメントするのも久しぶりかと(苦笑

で、前回から結構間の空いた今回でしたが~
・・・めっちゃ長かった、よね?(笑)
これはやっぱ銀狼さんの力の入れようが分かりますよね~さすがです!
今回は菜月の誕生日パーティーという話でしたが、
遂に出てきたラピスたんにドキドキです(^^;
たださやかさんの前ではリースと一緒でしたね。
見つかったら最後、もう逃げられません(笑)
これで向こうからもそれなりに出演してきたみたい
ですし、これからどうなるのか楽しみですね~
月に帰るその日までにフィーナと達哉、でもう1人の姫は
どうなっちゃうのか気になる~
で、次回はお祭と夏らしくいい感じでこっちの話も進行してますね。
私は・・・やっぱたこ焼き+ラムネで(笑)

それでは次回も楽しみにしてます~
TMくん 2007.07.23(月) 23:09 URL [編集]


こんばんわ~、私もコメント書きまぁす♪
長い(文字数的に)ですけれど、とっても
楽しく読めましたよ^^
菜月ちゃんのあわあわした様子や、リースたん
ならぬラピスたんが可愛いですねぇ~。。
あれでピーー!歳とは・・・ピアも可愛いし♪
それに、なんて言っても!ヴォイス脳内再生ですよ。
一人一人の台詞がその声で再生されるものですから
臨場感というか・・う~ん、楽しいっ!って言うか・・
混ざっているので余計に感動的なんですねー♪
何を言っているのかよくわからないと思いますが
そんな感じなんです、萌えているんです(爆

あと、今回の挿絵はかなり、登場人物をちりばめられた
かと思います。ラピスたんはやっぱ寝ぼけまなこ
が似合っていると思ったし・・。
仁さんにぶつかるしゃもじが上手くフレームに入ってよかった(笑
あと2人の立ち絵の時は身長も気にしながら~
って感じでしたが、ちょっと厳しいのもあるな・・・
あとレティ×ミアを新鮮に感じたなぁ~
同じ姫様でもこうも感じが変わるんですね。
一緒に買い物にいくお話を作った銀狼さん、GJっすd(^-^)

次回も楽しみにしてます~。
お互いに頑張りましょー^^

KATIE 2007.07.25(水) 00:37 URL [編集]


何だか随分開けてしまって申し訳ないです・・・私事で色々とありまして・・・感想多謝

>TMくん感想大感謝です!^^;
お待たせしました~いやまあ、さやかさんならラピスたん『そのたん禁止!』(笑)・・・観たらああいう反応はアリかな?と思いましたので(脳みそホエホエさんのコミック版よあけなだとリースにベタベタなさやかさんが拝めますよ♪)

>・・・めっちゃ長かった、よね?(笑)
いつも前後編なのでテキスト量としては同じくらいです。ただ文字密度は高いかな・・・やっぱり^^;
銀狼 2007.07.27(金) 12:10 URL [編集]


>ラムネにたこ焼き
私も大好きな組合せです~特に私はイベント帰りのアキバや池袋では定番だったりします(笑)
お祭りの余韻を感じるためとはいえ、カキ氷や西瓜は水気が多くて歩きながらは向きませんし^^;

KATIEさん感謝です!
ほんと~にお待たせしてしまいましたm--m
ご期待に応える事が出来たようなのでホッとしてます・・・次回は少し冒険してみようと思いますのでKATIEさんには大変かもしれませんが、宜しくお願いします。
銀狼 2007.07.27(金) 16:22 URL [編集]



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